厚生局による個別指導を受けてわかったこと。少しアドバイスを。

今、ラクマというアプリにはまっているきゆです。要らないものを出品するだけでお小遣いが増えるのがいいですね(笑)

 

ペンネームJinさんからお話をまとめましたので、どうぞご覧ください。

 

 

皆さんの医療機関では、厚生局の個別指導(適時調査)を受けた事がありますか?

これまで指導を受けた事がない、また指導とはどういったものなのか、そして個別指導に入る医療機関をどう決めているのかなどについてお話ししていきます。

 

まず、個別指導の目的とは、保険診療の質的向上及び適正化のために保険医療機関等への指導・監査等の行政指導を行うものとするとされています。

簡単に言い換えれば、点数表を理解し正しい請求を行なっているか、不正な請求はないかチェックするという事です。

 

では、厚生局はどのようにして指導に入る医療機関を決めているのでしょう?

 

正式には公表されてはいませんが、いろいろと調べてみたところ、

 

  1. 通報によるもの
  2. レセプト単価の比較

 

によるものが考えられます。

通報は、内部告発だけでなく、患者側からの通報や保険者からの通報といろいろあります。

レセプト単価の比較は、各月に医療機関より提出されたレセプトと厚生局独自のデータ(診療科ごとの平均点数等)と比較をし、誤差などを見ているようです。

 

そして、実際に厚生局が個別指導に来た場合、いったい何をするのかについてお話をします。

 

私も、これまで個別指導の経験は6回あります。

どれも、個別指導が入るからと医療機関側より対策を講じてほしいとの依頼があり、その医療機関に就職し、管理職として対応した時の事例を元にお話しします。

 

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1番叩かれるのは医事課部門。

 

個別指導は、大きくいうと1番叩かれるのが医事課部門です。

点数=お金に直結してくるため、1番厳しく見られる部分になります。

 

まず、約1ヶ月前に医療機関の開設者宛に厚生局より文書が届きます。

この文書の中身は、個別指導に入りますという旨の記載、また当日準備しておく書類等が書かれています。
また、当日はカルテもチェックされます。

 

カルテに関しては、30人分を厚生局が指定してきます。ただし、この1ヶ月前に届いた文書にはまだ30人の名前はありません。

個別指導の15日前に、まず15人分の名簿がFAXで届きます。

そして、個別指導の前日に残りの15人分が同じようにFAXで届きます。

 

他に医事課関連で必要な書類関係は以下の通りです。

 

  • 請求書、領収書のコピー(患者氏名は消してOK。)
  • 院外処方せんのコピー(院外処方の場合のみ)
  • 未収金が分かる書類(未収金台帳のようなもの)
  • 日別の集計表(1日のうち誰が受診し、支払い額がいくらか、またその金額が入金済or未収かが分かる書類)
  • レセプト提出までの工程表(外来、入院別)

 

医事課関連で言えば、代表的なものが上記に記載したものになります。

 

 

 

その他にも、院内の図面や、職場の勤務表、各委員会の議事録、医師や看護師の免許の控えに至るまで、事務方で保管している帳簿はほぼ必要になると考えてても良いでしょう。

 

 

厚生局の個別指導(医事部門)

 

 

医事課関連では、まず患者さんが来院してから会計するまでの流れを口頭で細かに説明させられます。

そして、話しの合間に厚生局の方が質問をしてきます。

 

院外処方せんについて

 

事例として、例えばお薬の処方が出た場合、今は大半の医療機関が院外処方ではないかと思います。

その際、院外処方せんを発行すると思いますが、皆さんの医療機関では処方せんをどこで発行していますか?

 

診察室ですか?

会計のとこですか?

受付ですか?

 

 

 

現在は、電子カルテや医事システムの普及により、手軽にどこでも発行する事は可能となっています。

電子カルテに医師が直接薬の入力を行なっているから、後は事務の方で発行し印鑑を押して患者さんに渡すといった医療機関も多いのではないでしょうか?

 

厚生局
厚生局の考えとしては、処方せんは発行した際に再度確認を行うこととしています。基本、入力した医師が確認を行い、間違いなどなければ、医師が印鑑を押す方法を推奨しています。

 

これは、発行する場合がどうと言うよりも、最終確認を医師自らが行なっているか否かが焦点となります。

 

未収金管理について

 

また、未収金管理についてもチェックされる項目です。

まず、真っ先に聞かれるのが、職員に対して福利厚生などと言って医療費を安くしてることなどはないかです。

 

窓口では、1割負担で残りの2割は医療機関が負担するなどの行為です。

これは、厳正に言うと行なってはならないこととなっています。

 

しかし、医療機関によっては、一旦職員に全額(例えば3割)負担してもらい、その後給与として2割分を返還するなど、編み目をかい潜るようなやり方をしているところもあるのは事実です。

 

そしてもう一つ、職員に対しての未収金がある場合は、いろいろと言われ、恐らく改善計画を出さなければならない事になると思います。例外として、職員であっても窓口に支払いに来れない状態などがある場合は別です。

明確な理由が答えれれば何ら問題はありません。

 

一方、患者さんに対しての未収金に関しては、

 

  • 未収になっている理由
  • それに対する対応
  • それが時系列で分かる書類

 

があると問題はありません。

 

恐らく最初は電話などで督促をするのが一般的ですが、その後の対応が問題です。

 

督促状を送る場合もあると思いますが、普通郵便では証拠にはなりません。

 

確実に本人が受け取ったか分かるように、特定記録郵便などで送り、必ず医療機関にも送った書類のコピーや、送付した日付が分かるように、私が行く医療機関では必ず未収金台帳を個人ごとに作成させ、誰が見ても詳細が分かるようにしています。

 

顔見知りの患者さんで、ツケをしたり、外来患者さんでも1か月ごとの請求など、様々な理由で未収金は発生すると思われますが、指導の時は誰の未収金に対して問われるかは分かりません。

きっちりとした理由を考え、問われてもすぐに答えれる準備は必要です。

 

また日々の日報的なものもチェックされます。今は、どのメーカーの医事システムでも出力は可能だと思いますが、今日受診した患者さんの一覧です。

 

 

そこに、出来ればその方の負担額や、実際入金なのか又は未収なのかが一緒に載っているリストがベストです。

 

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電子カルテなどの責任者は?

 

そして、私が過去1番手を焼いたのが電子カルテです。大病院ほど、専門の部署などがあり、いわゆるSEさんなどが働いている医療機関もあると思います。

しかし、ほとんどの医療機関がベンダー任せになっているのではないでしょうか?

ようは、電子カルテを購入した業者さんに頼りっきりになっているのでは?

 

今や医療のIT化はどんどん進み、電子カルテだけでもかなりの数があります。

 

そして、様々なシステムと連動させ、最終的に医事システムに情報が送られ計算が行われます。
この一連の行為の中で、例えば不具合が生じたりした場合、すべては購入した医療機関に責任があるとみなされます。

 

皆さんの医療機関では、電子カルテや医事システム等の責任者を決めていますか?

 

また、1か月に1回委員会を行なっていますか?

 

そして、何より1番は電子カルテ等のシステムに対して厚労省が出しているガイドラインを見た事がありますか?

簡単にガイドラインと言いましたが、A4用紙でいくと何百ページもあります。

 

  • そのガイドラインに準拠されたシステム構築をしていますか?
  • 院内でシステムのマニュアルを作成してますか?
  • 院内独自の指針を定め、職員に周知徹底されてますか?
  • 緊急時の対応は万全ですか?

 

と、いろいろと質問形式で言いましたが、一つでも出来てない医療機関はマズイと思って下さい。

 

 

以前、とある県で厚生局が電子カルテシステムに対しての指導結果が…

 

厚生局
電子カルテシステムのガイドラインに準拠しているシステム構築をすること

 

と言う回答を出しました。
これ、たった34文字の文章ですが、ものすごく重たいのが分かりますか?

 

その医療機関の電子カルテ自体、電子カルテではないと否定されてるようなものです。

 

なぜなら、ガイドラインに準拠していないと言う書き方をしているからです。

 

今の電子カルテのすごいとこは、例えばA社が電子カルテを作り、今後販売するにあたり、どこか国が決めた機関で検査を受け、そこでパスしたものが世の中に出ている訳ではありません。

 

簡単に言えば、A社がうちが作った電子カルテを、電子カルテですといって販売しているのが現状です。

という事は、ガイドラインをいかに理解している業者かどうかを見極めなければ、単に価格だけで判断するなどは本当に危険です。

 

私も数百ページあるガイドラインを何度も何度も読み返して勉強しましたが、本当に奥が深く、うちは大丈夫かと不安になることもあります。

 

先ほども言いましたが、購入した医療機関が責任を持って管理し、最終的な責任も医療機関にあることを忘れずに一度はガイドラインを見て下さい。

 

そして、不安な部分は購入した業者さんに必ず確認をして下さい。

これは、監査対策でありながらも自分達の身を守ることにも繋がります。

 

システムを上手く運用すれば、業務の効率化も図れる便利なものですが、その裏には複雑な決まりごとがあると言うことを忘れずに。

 

専門の部署がない医療機関は、医事課がきちんと管理をし、医事課主導でルールの策定や委員会の実施など、日常業務もある中でも大変だとは思いますが、監査にいつ入られても良い準備はしておきましょう。

 

また、すごく勉強になり自身のスキルアップになりますので、皆さんで協力して頑張ってみて下さい。

 

 

この当記事のまとめ

 

 

院外処方せんは、最終的に医師が確認をし、間違いがなければ医師が印鑑を押す方法を推奨しているので、気を付けよう。最終確認を医師自らが行っているかチェックされる可能性あり。

未収金台帳を個人ごとに作成させ、第三者がみても詳細がわかるようにしておこう。

電子カルテシステムのガイドラインに準拠されたシステム構築を再度確認し、不安な部分は購入した業者さんに必ず確認をしておこう。→自分たちの身を守ることに。

 

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