電子カルテに関する3原則【見読性】

診療録の電子化に関する3つの要件、【真正性】、【見読性】、【保存性】とは、H29年5月に出された厚生労働省通知「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」により定められたものです。この基準は、電子カルテ仕様の大原則になります。

今回は、「見読性」についてまとめました。

見読性とは

見読性とは、電子媒体に保存された内容を、「診療」、「患者への説明」、「監査」、「訴訟」等の要求に応じて、それぞれの目的に対し支障のない応答時間やスループット、操作方法
で、肉眼で見読可能な状態にできることである。

e-文書法の精神によれば、画面上での見読性が確保されていることが求められているが、要求によっては対象の情報の内容を直ちに書面に表示できることが求められることもあるため、必要に応じてこれに対応することを考慮する必要がある。

見読性を脅かす原因とは

大きく分けて3つあります。

1.電子媒体に格納された情報を見読可能なように画面に呼び出すために、何らかのアプリケーションが必要である。

2.記録が、他のデータベースやマスター等を参照する形で作成されることが多く、データの作成時点で採用したマスター等に依存しなければ、正しい記録として見読できない。

3.複数媒体に分かれて記録された情報の相互関係が、そのままでは一瞥して分かりにくい。

これらに適切に対応することにより、紙の記録と同等といえる見読性を確保しなければならない。

見読性を脅かす原因を除去

(1)情報の所在管理
紙管理された情報を含め、各種媒体に分散管理された情報であっても、患者ごとの情報の全ての所在が日常的に管理されていること。

(2)見読化手段の管理
電子媒体に保存された全ての情報とそれらの見読化手段は対応づけて管理されていること。また、見読手段である機器、ソフトウェア、関連情報等は常に整備されていること。

(3)見読目的に応じた応答時間
目的に応じて速やかに検索表示若しくは書面に表示できること。

(4)システム障害対策としての冗長性の確保
システムの一系統に障害が発生した場合でも、通常の診療等に差し支えない範囲で診療録等を見読可能とするために、システムの冗長化(障害の発生時にもシステム全体の機能を維持するため、平常時からサーバやネットワーク機器等の予備設備を準備し、運用すること)を行う又は代替的な見読化手段を用意すること。

推奨されるガイドラインとは

【医療機関等に保存する場合】

(1)バックアップサーバ
システムが停止した場合でも、バックアップサーバと汎用的なブラウザ等を用いて、日常診療に必要な最低限の診療録等を見読することができること。

(2)見読性確保のための外部出力
システムが停止した場合でも、見読目的に該当する患者の一連の診療録等を汎用のブラウザ等で見読ができるように、見読性を確保した形式で外部ファイルへ出力することができること。

(3)遠隔地のデータバックアップを使用した見読機能
大規模火災等の災害対策として、遠隔地に電子保存記録をバックアップし、そのバックアップデータと汎用的なブラウザ等を用いて、日常診療に必要な最低限の診療録等を見読することができること。

【ネットワークを通じて外部に保存する場合】

医療機関等に保存する場合の推奨されるガイドラインに加え、次の事項が必要となる。

(1)緊急に必要になることが予測される診療録等の見読性の確保緊急に必要になることが予測される診療録等は、内部に保存するか、外部に保存しても複製又は同等の内容を医療機関等の内部に保持すること。

(2)緊急に必要になるとまではいえない診療録等の見読性の確保緊急に必要になるとまではいえない情報についても、ネットワークや外部保存を受託する機関の障害等に対応できるような措置を行っておくこと。

 

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版より

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