動物による咬傷のICD病名について考えてみた。

犬による咬傷で病名が「左手指犬咬傷」としてICDはどう登録したらよいのか?と問い合わせがありました。

一応、調べてみたのですが、どっちを登録したらよいでしょうか。

①動物による咬傷 T141
部位不明ではないのに?(修飾語に左手指として登録したら大丈夫なの?)

②手の損傷として S610として登録したらいいの?

 

疾病、傷害および死因統計分類提要ICD-10準拠を調べるから少々お待ちください。

分厚い本ってなんか調べるのがイヤなんですよ。眠くなりますよね(笑)

 

この場合は、手の損傷として S610(左手指咬傷)を登録します。
T141は部位不明の開放創なので登録はしません。

なぜS610なの?

疾病、傷害および死因統計分類提要ICD-10準拠第2巻のP774より(第損傷、中毒およびその他の外因の影響)

開放創、下記を含む
動物による咬傷
・切創
・裂傷
・穿刺創:・NOS ・異物を伴うもの(穿通性)

と記載ありますので、S610を登録します。

T141も動物による咬傷とあるんだけど?

T141の場合は確かに動物による咬傷とありますが、これはあくまでも部位不明のときに登録します。

例)
動物に咬まれたけど、どこに咬まれたのか分からないと言っている患者さんには、是非T141とつけましょう。

動物に咬まれた場合の処置

 

治療としてはまず創部を十分に洗浄します、必要に応じて局所麻酔をして切開したり損傷した組織を切除したりします。口の中には酸素がなくても発育できる細菌(嫌気性菌)も多く、それらに有効な抗菌薬を投与します。破傷風のワクチンを10年以上接種していない方、接種状況が不明な方には破傷風のトキソイドや免疫グロブリンという注射をすることもあります。

動物に咬まれた場合、傷口を流水で十分洗い、ただちに医療機関を受診してください。治療に際し①傷の評価、②十分な処置(洗浄、異物除去)、③一時縫合するか否かの決断、④予防的抗菌薬投与の適応と選択、⑤破傷風および狂犬病予防の適応の判断を行います。

国立病院機構 熊本医療センターより引用

 

昆虫による咬傷(非有毒性)は?

もし、昆虫による咬傷(非有毒性)だった場合は、
S60 手首及び手の表在損傷とコーディングします。

開放創ではなく、表在損傷です。

表在損傷 下記を含む:
・表皮剥離
・水泡
・表在性異物による損傷、大きな開放創を伴わないもの
・皮下出血および血腫を含む挫傷
・昆虫による咬傷(非有毒性)

まとめ

T141は動物による咬傷で部位が不明のときにコーディングをしましょう。

動物による咬傷、昆虫による咬傷は異なるコードになるので注意です。

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