同僚から「輸血同意書って毎回取らないといけないの?こういったケースも同意書取るべきなの?」と相談がありました。
ケース
他院より紹介入院。他院では、定期輸血を行っていた患者さん。当院でも定期輸血を行うこととなり同意書を作成することになりました。
その後退院。
急変を起こし緊急入院となってしまったため、また当院で輸血を行うことになりました。この場合は、同意書を再作成すべきなのか。
(*患者意識障害等で同意書を得ることが難しい)
といったケース。
輸血同意書を取るべき。その根拠とは?
患者への説明
ア 「注1」に規定する説明とは、別紙様式26を参考として、文書により輸血の必要性、副作用、輸血方法及びその他の留意点等について、輸血を行う際に患者本人に対して行うことを原則とするが、医師の説明に対して理解ができないと認められる患者(例えば小児、意識障害者等)については、その家族等に対して説明を行うことが必要である。イ アの説明は、当該患者に対する一連の輸血につき1回行うものとする。なお、この場合、「一連」とは、概ね1週間とする。ただし、再生不良性貧血、白血病等の患者の治療において、輸血の*反復の必要性が明らかである場合はこの限りでない。
ウ 説明に用いた文書については、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)から署名又は押印を得た上で、当該患者に交付するとともに、その文書の写しを診療録に貼付することとする。
エ 緊急その他事前に説明を行うことが著しく困難な場合は、事後の説明でも差し支えないものとする。
厚生労働省より引用
今回も改めて説明し、輸血同意書を得ることが必要。
*患者意識障害等で同意書を得ることが、難しい場合は事後の説明で同意書を得ること。と答えました。
*反復輸血について、参考資料を見つけました。
輸血記録は何年間保存?
また、輸血記録って何年間保存すればいいの?と質問がありました。
輸血記録は20年間保存しなければならない。
X 血液製剤使用に関する記録の保管・管理
血液製剤(輸血用血液製剤及び血漿分画製剤)であって特定生物由来製品に指定されたもの※については,将来,当該血液製剤の使用により患者へのウイルス感染などのおそれが生じた場合に対処するため,診療録とは別に,当該血液製剤に関する記録を作成し,少なくとも使用日から20年を下回らない期間,保存すること。記録すべき事項は,当該血液製剤の使用の対象者の氏名及び住所,当該血液製剤の名称及び製造番号又は製造記号,使用年月日等であること(法第68条の9及び薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第62条の11及び14)。
※薬事法(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第2条第6項に規定
注:平成15年5月15日付け医薬発第0515011号「特定生物由来製品に係る使用の対象者への説明並びに特定生物由来製品に関する記録及び保存について」((社)日本医師会会長等宛て厚生労働省医薬局長通知)
輸血同意書はどのように扱ったらいいの?
3) 説明と同意(インフォームド・コンセント)
患者又はその家族が理解できる言葉で,輸血療法にかかわる以下の項目を十分に説明し,同意を得た上で同意書を作成し,一部は患者に渡し,一部は診療録に添付しておく(電子カルテにおいては適切に記録を保管する)。
● 必要な項目
(1) 輸血療法の必要性
(2) 使用する血液製剤の種類と使用量
(3) 輸血に伴うリスク
(4) 副作用・感染症救済制度と給付の条件
(5) 自己血輸血の選択肢
(6) 感染症検査と検体保管
(7) 投与記録の保管と遡及調査時の使用
(8) その他,輸血療法の注意点
同意書とは
患者が説明を受けて同意したことを明らかにするもの。
informed consent「十分な説明を受けた上での同意」
本人の同意が得られない、やむを得ない事情の時には、診療録記載です。
まとめ
当該患者に対する一連の輸血につき1回行うものとする。
「一連」とは、概ね1週間とする。
緊急その他事前に説明を行うことが著しく困難な場合は、事後の説明でも差し支えないものとする。
同意を得た上で同意書を作成し,一部は患者に渡し,一部は診療録に添付しておく。
輸血記録は20年間保存。