平成30年度診療報酬改定要望についてまとめてみた。
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<A207診療録管理体制加算1の増点>

100点→300点

要望理由

診療録管理体制加算1の算定要件に退院患者2000名につき1名の常勤の診療記録管理者の配置が義務付けられており、非常勤職員の常勤換算や、派遣職員・請負方式は不可とされている。
診療記録の管理は臨床を行う上で非常に重要な業務であり、それゆえ常勤の職員が専門的に行うことが望ましいと思われるが、2000名×100点=200,000点(2,000,000円)では常勤の職員を雇える現実的な点数設定とは言い難いため。

<A207-2医師事務作業補助体制加算1の増点>

15対1 870点→1020点
20対1 658点→808点
25対1 530点→680点
30対1 445点→595点
40対1 355点→505点
50対1 275点→425点
75対1 195点→645点
100対1 148点→298点
(各150点増)

要望理由

近年電子カルテの普及や社会情勢の急速な変化等により医師の業務が増大する傾向は、必ずしも十分改善できている状況ではない。医師の指示のもと、業務を補助する事務作業補助者の需要は、特に急性期医療を担う病院は増加しているので、それに見合う点数が必要であるため。

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<A245データ提出加算の増点>

データ提出加算2200床未満の場合180点→230点

要望理由

データ提出加算は7対1入院基本料、地域包括ケア入院料に加え、平成28年度の診療報酬改定にて10対1入院基本料(200床以上)にも施設基準の要件として組み込まれた。今後は更なる拡大が予測されデータ提出加算を算定する病院は増加すると思われる。データ提出加算は退院時に1回のみの算定であり、入院期間の長い患者が多い病院や大規模病院と比べ病床数の少ない中小病院にとっては加算算定件数が限られる。
また、データ提出加算を算定するには、事務部門の負担だけではなく他部門の協力も必要となることから点数の増点を要望する。

①係数関係

c) 機能評価係数Ⅱ
6)地域医療指数

要望理由

機能評価係数Ⅱの地域医療指数は、将来の地域における医療提供体制構築に当たって地域医療への貢献を表す重要な指標(5疾病5事業)であり、その重要性に鑑み、以下の2点について見直しを行うこと。
① 機能評価係数Ⅱの各係数への報酬配分(重み付け)は、等分となっているが、本指標の重要性に鑑み、より配分を重くすること。
② 地域医療指数の中の「定量評価指数」は、二次医療圏における担当患者数のシェアが評価対象となっており、そこでは患者の流出入が考慮されていない一方、各都道府県が進めている医療計画では流出入が考慮されている。医療計画と整合する観点から、流出入も考慮した評価体系とすること。

8)重症度指数

要望理由

平成28年度診療報酬改定で導入された機能評価係数Ⅱの重症度指数※は、計算式上「出来高点数が高い=重症」という評価であり、重症度を表す指標としては不十分である。よって、本指数を廃止し、既存の他の指数に分配すること。
※ 当該医療機関における〔包括範囲出来高点数〕/〔診断群分類点数表に基づく包括点数〕を評価する。(ただし救急医療指数で既に評価されている救急入院2日目までの包括範囲出来高点数は除外する。)

②診断群分類の見直し(コーディングのルール)

d) その他(診断群)

要望理由

敗血症、播種性血管内凝固については、重篤な一時期の医療資源投入量としての他の疾患の医療資源に与える影響が大きいと思われる。このため、特に副傷病に存在するとき在院日数延長、医療資源の投入量増加が認められる下記診断群について、敗血症、播種性血管内凝固を定義副傷病名とし、分岐設定を要望する。
① 敗血症については、040080:肺炎等、040081:誤嚥性肺炎、040110:間質性肺炎、060370:腹膜炎、腹腔内膿瘍(女性器臓器を除く)、080011:急性膿皮症、130010:急性白血病
② 播種性血管内凝固については、040080:肺炎等、040081:誤嚥性肺炎、060335:胆嚢水腫、胆嚢炎等、060370:腹膜炎、腹腔内膿瘍(女性器臓器を除く)、110310:腎臓または尿路の感染症、130030:非ホジキンリンパ腫、130010:急性白血病

小児疾患

0070 川崎病

要望理由

川崎病の治療において、年長児では、γグロブリン製剤の投与量が多く、また、複数回の投与を必要とする重症例が多い。γグロブリン製剤の使用により、年長児では病院の持ち出しが極めて多額となる症例があるため、現状の2歳未満、2歳以上の年齢分岐に5歳以上の年齢分岐の新設を要望する。

循環器系疾患

0130 心不全

要望理由

コーディングテキストでは、「原疾患として心筋症、心筋梗塞等が明らかな場合は心不全として処理をせず原疾患を医療資源病名として選択する。」と記載されているが、治療内容、医療資源投入量とも原疾患と心不全では異なることから、医療資源投入量の多寡の判断により、心不全とするか、原疾患とするか選択するようにコーディングテキストの変更を要望する。

③持参薬

要望理由

DPCの入院患者に対して使用する薬剤については、入院中の処方が原則であり、特別な理由がない限り認められないこととなっている。このことが残薬数のばらつきを生じさせる原因となり、廃棄される一要因であると考えられる。
適切なDPC点数体系を維持する趣旨は理解できるが、持参薬鑑別から処方指示、服薬管理まで各職種の業務が増加し、システム変更には費用も生じている。(付属資料参照※)
適切なDPC点数体系を維持するため、持参薬管理に係る人的・物的負担に対する評価を係数等で新設すること。
※ 「平成30年度診療報酬改定に関する改正・新設要望項目の調査に係るDPC病院における持参薬アンケート 集計結果」(公益社団法人全国自治体病院協議会),(2017年),「平成30年度 社会保険診療報酬に関する改正・新設要望書」p.60-66

 

 

全国自治体病院協議会より引用

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