特集【レセプト検査事例】を調べたらこんなにあった。検査の知識を手に入れよう。

目次

157 アルブミン定量(尿)(糖尿病性早期腎症)

○ 取扱い
糖尿病性早期腎症(第1期又は第2期の記載がないもの。)に対してのアルブミン定量(尿)の算定を認める。
○ 取扱いを定めた理由
D001の8 アルブミン定量(尿)は通知に「糖尿病又は糖尿病性早期腎症患者であって微量アルブミン尿を疑うもの(糖尿病性腎症第1期又は第2期のものに限る。)に対して行った場合に、3か月に1回に限り算定できる。」とある。
糖尿病診療ガイドラインに糖尿病性腎症病期分類の表が記載されているが、第1期とは尿蛋白(アルブミン)が正常であるもの、第2期とは尿蛋白(アルブミン)が微量アルブミン尿であるものと定義し、第2期を早期腎症と呼称している。
傷病名「早期腎症」は、尿蛋白が陰性で、アルブミン定量(尿)の測定により微量アルブミンを診断できる患者であり、通知に該当すると考えられる。

1 赤血球沈降速度(ESR)とC反応性蛋白(CRP)(併施)

○ 取扱い
原則として、同一検体での赤血球沈降速度(ESR)とC反応性蛋白(CRP)の併施算定は認められる。
○ 取扱いを定めた理由
ESRとCRP検査データは、通常、並行的に変化するものであるが、両者のデータの乖離(かいり)は炎症初期及び回復期等に認められる場合がある。また、血管内凝固症候群など両者の乖離(かいり)が診断のきっかけとなることもあるなど、両者の併施は有用である。

2 赤血球沈降速度(ESR)(高血圧症)

○ 取扱い
初診時以外で、「高血圧症」のみの病名に対する赤血球沈降速度(ESR)の算定は認められない。
○ 取扱いを定めた理由
「高血圧症」とESRは病態生理学的にみて、必然的な検査とは認められない。

3 HbA1c①(膵臓疾患)

○ 取扱い
原則として、糖尿病若しくは糖尿病疑いの明示がなく、膵臓疾患のみの場合のHbA1c検査は認められない。
○ 取扱いを定めた理由
HbA1c検査は、糖尿病の治療のコントロールを目的として実施される検査であり、「糖尿病」または「糖尿病疑い」の場合に認められる検査である。
○ 留意事項
膵臓疾患、特に慢性膵炎では糖尿病の合併が多く見られ、血糖値の平均を評価することには臨床的有用性がある。こうした場合は「糖尿病」または「糖尿病疑い」等の病名を明細書に記載することとなるが、これらの病名がない場合には、詳記等により検査をする医学的な必要性が認められる場合に限られる。

4 HbA1c②(肝臓疾患)

○ 取扱い
原則として、糖尿病若しくは糖尿病疑いの明示がなく、肝臓疾患のみの場合のHbA1c検査は認められない。
○ 取扱いを定めた理由
HbA1c検査は、糖尿病の治療のコントロールを目的として実施される検査であり、「糖尿病」または「糖尿病疑い」の場合に認められる検査である。

○ 留意事項
肝疾患、特に肝硬変等では糖尿病の合併が多く見られ、血糖値の平均を評価することには臨床的有用性がある。こうした場合は「糖尿病」または「糖尿病疑い」等の病名を明細書に記載することとなるが、これらの病名がない場合には、詳記等により検査をする医学的な必要性が認められる場合に限られる。

5 出血時間(心臓カテーテル法)

○ 取扱い
心臓カテーテル法による諸検査施行前の出血時間は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
心臓カテーテル法による諸検査には、右心・左心カテーテルを含む。それぞれ静脈、動脈にシースイントロデューサーを挿入し、必要とするカテーテルにより検査を施行する。検査終了時の止血は主に圧迫止血である。活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、プロトロンビン時間(PT)はそれぞれ内因系及び外因系の止血異常を、また、出血時間は血小板機能を始め血管壁やその周囲組織の状況を含めた止血検査の基本となるものであり、心臓カテーテル検査を実施するに当たって有意義な検査と認められる。

6 プロトロンビン時間(PT)①(心臓カテーテル法)

○ 取扱い
心臓カテーテル法による諸検査施行前のプロトロンビン時間(PT)は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
心臓カテーテル法による諸検査には、右心・左心カテーテルを含む。それぞれ静脈、動脈にシースイントロデューサーを挿入し、必要とするカテーテルにより検査を施行する。検査終了時の止血は主に圧迫止血である。
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、プロトロンビン時間(PT)はそれぞれ内因系及び外因系の止血異常を、また、出血時間は血小板機能を始め血管壁やその周囲組織の状況を含めた止血検査の基本となるものであり、心臓カテーテル検査を実施するに当たって有意義な検査と認められる。

143 プロトロンビン時間(PT)②(術前検査)

○ 取扱い
原則として、消化管内視鏡検査(ポリープ切除を実施しない場合)の術前検査として、プロトロンビン時間(PT)は認められる。
○ 取扱いを定めた理由
当初の目的が消化管内視鏡(特に大腸内視鏡)検査であって、観察の結果で、そのままポリープ切除術など観血的な医療行為に移行することがある。

7 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)(心臓カテーテル法)

○ 取扱い
心臓カテーテル法による諸検査施行前の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
心臓カテーテル法による諸検査には、右心・左心カテーテルを含む。それぞれ静脈、動脈にシースイントロデューサーを挿入し、必要とするカテーテルにより検査を施行する。検査終了時の止血は主に圧迫止血である。
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、プロトロンビン時間(PT)はそれぞれ内因系及び外因系の止血異常を、また、出血時間は血小板機能を始め血管壁やその周囲組織の状況を含めた止血検査の基本となるものであり、心臓カテーテル検査を実施するに当たって有意義な検査と認められる。

27 リポ蛋白分画とコレステロール分画(併施)

○ 取扱い
原則として、リポ蛋白分画とコレステロール分画の併施は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
脂質異常症は、血液中の脂質すなわちLDL-コレステロール(LDL-C)、HDLコレステロール(HDL-C)中性脂肪(TG)のうち少なくとも一つが病的範囲にある状態をいう。
日本動脈硬化学会では、脂質異常症の診断基準として、LDL-C140mg/dl以上、TG150mg/dl以上を挙げ、HDL-C40mg/dl未満を低HDL-C血症としている。また、同学会の動脈硬化性疾患予防ガイドラインはLDL-Cを重視し、患者を冠動脈疾患の有無とLDL-C以外の主要危険因子により4カテゴリーに分け、その脂質管理目標値に従った管理を推奨している。
一方、リポ蛋白は脂質と蛋白の複合体をさし、カイロミクロン、超低比重リポ蛋白(VLDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、高比重リポ蛋白(HDL)が含まれる。ある種の病的状態で中間比重リポ蛋白(ILD)あるいはレムナントが増加する。
従来、脂質異常症の分類については、脂質代謝過程で障害されている経路や機構を把握する目的でリポ蛋白分画が測定され、Fredricksonの分類を改変したWHOの表現型分類が用いられている。
しかし、実際の臨床の場では上記の日本動脈硬化学会の基準に基づいた診療が行われている。また、リポ蛋白は脂質値(コレステロール分画)やアポ蛋白値と相関して変動することが多く、コレステロール分画についてはその測定も容易であり、その測定値でリポ蛋白の値を類推できることから、日常の脂質異常症の診療はコレステロール分画測定にて足りると考えられ、原則として両検査の併施は認められない。

○ 留意事項
治療上必要となる場合は、当該理由を詳記することにより認められる場合もある。

8 血液ガス分析①(呼吸不全)

○ 取扱い
急性期の呼吸不全の場合、毎日複数回の血液ガス分析の算定は認められる。
○ 取扱いを定めた理由
急性期の呼吸不全とは、血液ガス上PaO2の低下、PaCO2の上昇がもたらされる状態であり、血液ガスを正常化させる呼吸管理が治療上最も重要であり、その為には複数回の血液ガス分析は必要と認められる。
○ 留意事項
1日の必要回数については、個々の病状により異なる。急性期とは、通常、1~2週間程度である。

26 血液ガス分析②(呼吸不全)

○ 取扱い
原則として、症状の安定している慢性期の呼吸不全においては、毎日複数回の血液ガス分析の実施は認められない。
○ 取扱いを定めた理由
室内気吸入時の動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下の状態が1か月以上持続する状態を慢性呼吸不全というが、慢性期の呼吸不全患者での動脈血ガス分析による経過観察は、通常1~6か月間隔で行う。在宅酸素療法の患者など症状・重症度によっては自ずから頻回の測定が必要となる場合もあり、また適宜外来等においてパルスオキシメーターによる管理も行われるが、連日複数回の血液ガス分析は通常の慢性呼吸不全においてはその必
要性は認められない。
○ 留意事項
慢性呼吸不全の急性増悪期にあっては、連日あるいは1日に複数回の動脈血ガス分析が必要となる場合もあり、このような症例に対しては認められる。

144 ヒアルロン酸①(肝機能障害、肝細胞癌疑い)

○ 取扱い
「慢性肝炎」の病名がない場合、「肝機能障害」又は「肝細胞癌疑い」に対するヒアルロン酸は認められない。
○ 取扱いを定めた理由
「肝機能障害」では、慢性肝炎かどうか明確ではない。
「肝細胞癌疑い」では、ヒアルロン酸の測定は診断の参考とならない。

145 ヒアルロン酸②(肝硬変)

○ 取扱い
原則として、肝硬変に対するヒアルロン酸は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
「肝硬変」では、既に肝の繊維化が認められるものであり、ヒアルロン酸の測定は、疾患の経過観察の参考とならない。

146 ヒアルロン酸③(肝細胞癌)

○ 取扱い
原則として、「慢性肝炎」の病名がない場合、肝細胞癌に対するヒアルロン酸は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
「肝細胞癌」では、ヒアルロン酸の測定は、経過観察や治療方針の決定には参考とならない。

147 ヒアルロン酸④(原発性胆汁性肝硬変)

○ 取扱い
原則として、「慢性肝炎」の病名がない場合であっても、原発性胆汁性肝硬変に対するヒアルロン酸は認められる。
○ 取扱いを定めた理由
「原発性胆汁性肝硬変」は、診断時には必ずしも肝硬変とは言えず、そのステージングの参考となる。

9 T3、FT3、T4、FT4(併施)

○ 取扱い
原則として、T3とFT3、T4とFT4の併施は認められない。
T3およびT4、あるいはFT3およびFT4の組み合わせによる併施は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
日常の臨床の場で、甲状腺ホルモンの動向をみるためには、特定の場合を除き総甲状腺ホルモンT3、T4の測定によってのみでも可能であるが、総甲状腺ホルモン(T3やT4)は、血中ではその大部分が蛋白(TBG等)と結合した形で存在しており、実際の生体での作用は遊離系のfreeT3(FT3)、freeT4(FT4)濃度によって決定されることから、病態の把握には遊離ホルモンの測定がより有用となる。また、甲状腺ホルモンの総量と遊離系ホルモン量とは概ね相関して増減することから、特定の場合を除き、甲状腺ホルモンの測定は、その遊離系ホルモン量あるいは甲状腺ホルモン総量測定のいずれかによることが望ましい。
○ 留意事項
まれに、TBG異常症等でT3・T4とFT3・FT4との間に乖離(かいり)が見られることがあり、臨床的にそのようなことが想定されT3とFT3、T4とFT4の併施測定の医学的必要性が認められる場合に限り認められる。

31 インスリン(IRI)(糖尿病確定後の患者)

○ 取扱い
原則として、糖尿病確定後の患者に対して、インスリン(IRI)は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
糖尿病として診断されても、その型別の判断が困難である症例も見受けられる。糖尿病の病態把握、特にインスリン抵抗性を知るために、一定間隔での経過観察が必要な場合もある。
まれな病型であるが、slowly progressive Ⅰ型糖尿病においては、発症初期には一見Ⅱ型糖尿病のような臨床症状を呈する。
○ 留意事項
C-ペプチド(CPR)との併施は、インスリン異常症等の場合を除き原則として認められない。
インスリン治療中は認められない。

32 C-ペプチド(CPR)(糖尿病確定後の患者)

○ 取扱い
原則として、糖尿病確定後の患者に対して、C-ペプチド(CPR)は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
糖尿病として診断されても、その型別の判断が困難である症例も見受けられる。特にインスリン抵抗性を知るために、一定間隔での経過観察が必要である。
まれな病型であるが、slowly progressive Ⅰ型糖尿病においては、発症初期には一見Ⅱ型糖尿病のような臨床症状を呈する。また、小児・若年の糖尿病においては、発病初期の場合が多く、病型の判定の困難なことがある。
○ 留意事項
インスリン(IRI)との併施は、インスリン異常症等の場合を除き原則として認められない。

148 α-フェトプロテインレクチン分画(AFP-L3%)(慢性肝炎)

○ 取扱い
原則として、初診月又は再診月に傷病名が「慢性肝炎」のみの場合、α-フェトプロテインレクチン分画(AFP‐L3%)は認められない。
○ 取扱いを定めた理由
告示・通知から、「慢性肝炎」のみでは認められない。

10 梅毒血清反応(STS)定性①(心臓カテーテル法)

○ 取扱い
心臓カテーテル法による諸検査など観血的検査やPTCA施行前の梅毒血清反応(STS)定性は認められる。
○ 取扱いを定めた理由
梅毒は、血液を介して感染が広がるおそれがあることから、観血的検査等を実施するに当たって感染の有無の確認を行うことに意義は認められる。
○ 留意事項
梅毒血清反応(STS)半定量、梅毒血清反応(STS)定量の算定は認められない。

13 梅毒血清反応(STS)定性②(人工腎臓実施時)

○ 取扱い
人工腎臓実施時(初回)に梅毒血清反応(STS)定性の算定は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
梅毒は、血液を介して感染が広がるおそれがあることから、観血的検査等を実施するに当たって感染の有無の確認を行うことに意義は認められる。

○ 留意事項
梅毒血清反応(STS)半定量、梅毒血清反応(STS)定量の算定は認められない。

28 梅毒血清反応(STS)定性③(内視鏡検査)

○ 取扱い
原則として、内視鏡検査時における梅毒血清反応(STS)定性は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
梅毒は、血液を介して感染が広がるおそれがあることから、内視鏡検査を実施するにあたって感染の有無の確認を行うことに意義は認められる。

95 HIV-1抗体、HIV-1、2抗体定性、HIV-1、2抗体半定量、HIV-1、2抗体定量、HIV-1、2抗原・抗体同時測定定性又はHIV-1、2抗原・抗体同時測定定量① (入院時)

○ 取扱い
入院時の検査として、HIV-1抗体、HIV-1、2抗体定性、HIV-1、2抗体半定量、HIV-1、2抗体定量、HIV-1、2抗原・抗体同時測定定性又はHIV-1、2抗原・抗体同時測定定量は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
本検査は、スクリーニング検査としては、認められない。

96 HIV-1抗体、HIV-1、2抗体定性、HIV-1、2抗体半定量、HIV-1、2抗体定量、HIV-1、2抗原・抗体同時測定定性又はHIV-1、2抗原・抗体同時測定定量②(内視鏡検査)

○ 取扱い
内視鏡検査時の検査として、HIV-1抗体、HIV-1、2抗体定性、HIV-1、2抗体半定量、HIV-1、2抗体定量、HIV-1、2抗原・抗体同時測定定性又はHIV-1、2抗原・抗体同時測定定量は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
本検査は、スクリーニング検査としては、認められない。

11 HBs抗原定性・半定量①(心臓カテーテル法)

○ 取扱い
心臓カテーテル法による諸検査など観血的検査やPTCA施行前のHBs抗原定性・半定量は認められる。
○ 取扱いを定めた理由
B型肝炎は、日常の臨床現場で遭遇することが稀ではない感染症であるが、血液を介して感染が広がるおそれがあることから、観血的検査等を実施するに当たって感染の有無の確認を行うことに意義は認められる。

14 HBs抗原定性・半定量②(人工腎臓実施時)

○ 取扱い
人工腎臓実施時(初回)にHBs抗原定性・半定量の算定は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
B型肝炎は、日常の臨床現場で遭遇することが稀ではない感染症であるが、血液を介して感染が広がるおそれがあることから、観血的検査等を実施するに当たって、感染の有無の確認を行うことに意義は認められる。

29 HBs抗原定性・半定量③(内視鏡検査)

○ 取扱い
原則として、内視鏡検査時におけるHBs抗原定性・半定量は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
B型肝炎は、日常の臨床現場で遭遇することが稀ではない感染症であるが、血液を介して感染が広がるおそれがあることから、内視鏡検査を実施するにあたって感染の有無の確認を行うことに意義は認められる。

12 HCV抗体定性・定量①(心臓カテーテル法)

○ 取扱い
心臓カテーテル法による諸検査など観血的検査やPTCA施行前のHCV抗体定性・定量は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
C型肝炎は、日常の臨床現場で遭遇することが稀ではない感染症であるが、血液を介して感染が広がるおそれがあることから、観血的検査等を実施するに当たって感染の有無の確認を行うことに意義は認められる。

15 HCV抗体定性・定量②(人工腎臓実施時)

○ 取扱い
人工腎臓実施時(初回)にHCV抗体定性・定量の算定は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
C型肝炎は、日常の臨床現場で遭遇することが稀ではない感染症であるが、血液を介して感染が広がるおそれがあることから、観血的検査等を実施するに当たって、感染の有無の確認を行うことに意義は認められる。

30 HCV抗体定性・定量③(内視鏡検査)

○ 取扱い
原則として、内視鏡検査時におけるHCV抗体定性・定量は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
C型肝炎は、日常の臨床現場で遭遇することが稀ではない感染症であるが、血液を介して感染が広がるおそれがあることから、内視鏡検査を実施するにあたって感染の有無の確認を行うことに意義は認められる。

39 リウマトイド因子(RF)定量(膠原病の疑い)

○ 取扱い
原則として、初診時に「膠原病の疑い」の病名に対する、リウマトイド因子(RF)定量は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
リウマトイド因子(RF)定量などのリウマトイド因子の測定は、膠原病の代表疾患である関節リウマチ(RA)の診断に欠かせない検査であり、リウマトイド因子(RF)定量は抗核抗体とともに、膠原病の特徴である自己抗体の存在を検討する上で基本的な検査である。
したがって、リウマトイド因子(RF)定量は膠原病の診断を進める際に用いる検査として有用である。

149 抗核抗体、抗DNA抗体定性、抗DNA抗体定量(疑い病名、「注記」がない場合)

○ 取扱い
原則として、「疑い病名」あるいは「注記」がない場合、抗てんかん剤に対する抗核抗体、抗DNA抗体定性、抗DNA抗体定量は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
抗てんかん剤の副作用としてSLE様症状は稀であるので、認めない。
○ 留意事項
「疑い病名」又は「注記」の記載がある場合は認める。

150 ループスアンチコアグラント定性、ループスアンチコアグラント定量①(膠原病疑い)

○ 取扱い
「抗リン脂質抗体症候群」の病名がない場合、「膠原病疑い」に対するループスアンチコアグラント定性、ループスアンチコアグラント定量は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
膠原病のスクリーニング検査としてループスアンチコアグラント定性、ループスアンチコアグラント定量を測定することは適当でない。

151 ループスアンチコアグラント定性、ループスアンチコアグラント定量②(習慣流産)

○ 取扱い
原則として、「抗リン脂質抗体症候群」の病名がない場合であっても、「習慣流産」に対するループスアンチコアグラント定性、ループスアンチコアグラント定量は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
習慣流産の原因となる母体疾患として、「抗リン脂質抗体症候群」を持っている可能性が高いと考えられる。抗リン脂質抗体は、流産との関連性が大きく、不育症の重要な要因でもあるため、これらの母体疾患の有無を検討し、異常があれば治療を加えることで流産を予防することが可能である。

295 抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)(ANCA関連血管炎)

○ 取扱い
原則として、ANCA関連血管炎(疑いを含む)に対して、抗好中球細胞質ミエロペルオキシターゼ抗体(MPO-ANCA)は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
急速進行性糸球体腎炎は急速に腎機能に影響を及ぼす病態の一つの総称であり、具体的傷病名として多くの疾患が包合されている。ANCA関連血管炎は急速進行性糸球体腎炎の様々な原因疾患の中の一つであり、MPO-ANCAの測定はANCA関連血管炎の診断および病態把握に有用であると考えられる。

○ 留意事項
「ANCA関連血管炎の疑い」に対して、MPO-ANCAを連月算定する場合は、ANCA関連血管炎を疑う所見等のコメントが必要であり、単に「ANCA関連血管炎の疑い」の病名が記載されているだけでは、MPO-ANCAの算定は認められない。

40 血清補体価(CH50) (膠原病の疑い)

○ 取扱い
原則として、初診時に「膠原病の疑い」の病名に対する血清補体価(CH50)は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
血清補体価検査は、その病態にⅡ型・Ⅲ型アレルギー機序が関与する膠原病(全身性エリテマトーデス、クリオグロブリン血症、血管炎症候群等)では低値を示すことが一般的に知られている。
したがって、CH50は膠原病の診断を進める際に用いる血清補体価検査として有用である。

304 HBs抗原①(B型肝炎疑い)

○ 取扱い
原則として、健診等の結果、血液検査の結果及び症状等から、「B型肝炎の疑い」病名がある場合において、スクリーニングを目的として実施した、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「3」のHBs抗原の算定は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「3」のHBs抗原については、健診等で肝機能障害や黄疸が指摘された場合や、血液検査の結果及び全身倦怠感に引き続き食欲不振、悪心・嘔吐などの症状からB型肝炎が疑われる場合に実施されており、B型肝炎ウイルスの感染を見逃さないために高感度又は高精度に測定することは臨床上有用である。
したがって、B型肝炎が疑われた時点で高感度又は高精度の区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「3」のHBs抗原を実施することは必要と認められる。

305 HBs抗原②(手術前及び観血的検査前)

○ 取扱い
原則として、手術前及び観血的検査前において、スクリーニングを目的として実施した区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「3」のHBs抗原の算定は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「3」のHBs抗原については、一般的に手術前及び観血的検査前において実施されており、B型肝炎ウイルスの感染を見逃さないために高感度又は高精度に測定することは臨床上有用である。
したがって、手術前及び観血的検査前において高感度又は高精度の区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「3」のHBs抗原を実施することは必要と認められる。

306 HBs抗原③(B型肝炎の経過観察)

○ 取扱い
原則として、「B型肝炎」の抗ウイルス療法、肝庇護療法及び免疫療法の治療をしている経過観察において、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「3」のHBs抗原を測定し算定することは認められる。

○ 取扱いを定めた理由
区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「3」のHBs抗原については、B型肝炎(診断時以外)患者に対する抗ウイルス療法、肝庇護療法及び免疫療法の治療効果を判定するうえで、肝細胞内のB型肝炎ウイルスの増殖の病態を把握するためにHBs抗原定量値を経時的に測定することが最も有用である。
したがって、B型肝炎(診断時以外)患者に対する抗ウイルス療法、肝庇護療法及び免疫療法の治療効果を判定するうえで、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「3」のHBs抗原を実施することは必要と認められる。

16 細菌顕微鏡検査(血液培養)

○ 取扱い
原則として、血液培養の際の検体での細菌顕微鏡検査は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
臨床的に感染症の診療に当っては、原虫類、一部のスピロヘータ類は塗抹検査でその種類を特定できるが、細菌類、真菌類の多くは培養検査の結果を待たなければならない。
また、検体塗抹検査によって菌が検出されるためには、材料中に多量の菌の存在が必要であり、化学療法の普及した今日にあっては、塗抹検査で菌の検出されることは極めて限られており、日常診療での有用性は極めて限られていると判断される。
○ 留意事項
原則として、血液培養の際の検体からの細菌顕微鏡検査は認められないが、マラリア、アメーバ赤痢等顕微鏡検査による形態学的診断が極めて重要な役割を演じる疾患であって、当該疾病を疑う医学的必要性が認められる場合は、D005の7血中微生物検査により算定する。

152 心臓カテーテル法による諸検査(ペースメーカー移植術と同日)

○ 取扱い
原則として、ペースメーカー移植術と同日に行った心臓カテーテル法による諸検査(右心カテーテル)は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
右心カテーテルについては、ペースメーカーの種類を決定するため必要な検査である。
○ 留意事項
左心カテーテルについては、傷病名より、必要性を判断する。

310 超音波検査(断層撮影法)(関節リウマチ)

○ 取扱い
原則として、「関節リウマチ」に対する診断及び経過観察を目的として実施した「超音波検査(断層撮影法)(その他)」の算定は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
「関節リウマチ」の骨破壊の原因である滑膜炎の存在と、リウマチの特徴的な骨破壊像である骨びらんを描出することができるため「超音波検査(断層撮影法)(その他)」が有用である。

○ 留意事項
経過観察として認める場合の期間(算定間隔)については、個々の症例により適正なものとすること。

44 パルスドプラ法加算①(腎悪性腫瘍)

○ 取扱い
原則として、腎悪性腫瘍に対して超音波検査(断層撮影法)を施行する場合にパルスドプラ法加算は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
腎癌の大半は血管の豊富な腫瘍であり診断的価値は大きい。また腎静脈、下大静脈などへの腫瘍浸潤の診断にも有用である。

○ 留意事項
原則として良性腫瘍では有用性は低いが、腎血管筋脂肪腫などの血管の豊富な腫瘍では、パルスドプラ法が必要である場合がある。

45 パルスドプラ法加算②(尿管腫瘍)

○ 取扱い
原則として、尿管腫瘍に対して超音波検査(断層撮影法)を施行する場合にパルスドプラ法加算は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
尿管腫瘍は血流がほとんど存在せず、小さいので診断的価値が少ない。

○ 留意事項
原則として良性腫瘍では有用性は低いが、進行病変では診断的価値が高いことから、悪性腫瘍、血管病変では必要である場合がある。

46 パルスドプラ法加算③(精索静脈瘤)

○ 取扱い
原則として、精索静脈瘤に対して超音波検査(断層撮影法)を施行する場合にパルスドプラ法加算は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
手術適応の決定の際に、精索静脈の血流状態の診断が必要である。

47 パルスドプラ法加算④(精索、精巣捻転症)

○ 取扱い
精索及び精巣捻転症に対して超音波検査(断層撮影法)を施行する場合にパルスドプラ法加算は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
精巣温存のためには緊急手術を要する疾患であり、その手術適応の決定の際に、精巣の血行障害の診断が必要である。

153 パルスドプラ法加算⑤(乳癌)

○ 取扱い
原則として、乳癌が疑われる患者に対するスクリーニング検査として、超音波検査の断層撮影法におけるパルスドプラ法加算は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
乳癌自体の血流量が少ないので、パルスドプラ法は意味がない。
また、スクリーニング検査では、早期症例又は他の良性腫瘍も多く含まれる。

97 呼吸心拍監視①(硬膜外麻酔による手術)

○ 取扱い
硬膜外麻酔による手術に伴う呼吸心拍監視は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
硬膜外麻酔による術中・術後において、血圧降下など当然のごとく発生する副作用や術中・術後の出血に伴って発生する偶発事故の兆候を早期に発見するには、呼吸心拍監視を用いる。

○ 留意事項
手術を伴わない硬膜外麻酔として、硬膜外ブロックでは、偶発事故の発生は少ないことから、呼吸心拍監視の算定については、「心機能の低下があり、神経ブロックによる血圧降下の及ぼす影響が著しく、合併症の危険性が増す」等の医学的に必要な理由がある場合に限られる。

98 呼吸心拍監視②(脊椎麻酔による手術)

○ 取扱い
脊椎麻酔による手術に伴う呼吸心拍監視は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
脊椎麻酔による術中・術後において、血圧降下など当然のごとく発生する副作用や術中・術後の出血に伴って発生する偶発事故の兆候を早期に発見するには、呼吸心拍監視を用いる。

99 呼吸心拍監視③(静脈麻酔による手術)

○ 取扱い
静脈麻酔による手術に伴う呼吸心拍監視は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
静脈麻酔を用いる場合、その薬剤の特性から合併症として呼吸停止や血圧降下が見られる。これら術中の合併症の情報を早期に取得するために呼吸心拍監視を用いる。

154 終夜睡眠ポリグラフィー(慢性心不全)

○ 取扱い
原則として、在宅酸素療法指導管理料2のその他の場合について、在宅酸素療法指導管理料を慢性心不全で算定する場合で、睡眠時無呼吸症候群の病名がない場合、「終夜睡眠ポリグラフィー 1 携帯用装置を使用した場合」、「終夜睡眠ポリグラフィー 2 多点感圧センサーを有する睡眠評価装置を使用した場合」又は「終夜睡眠ポリグラフィー 3 1及び2以外の場合」は認められない。

○ 取扱いを定めた理由
終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の合併を疑って行なう検査である。

○ 留意事項
慢性心不全患者にはSAS(とりわけ中枢性SAS)の合併が高頻度に見られること。また、その治療には在宅酸素療法(HOT)と並んで在宅持続陽圧呼吸療法(C-PAP)が有効であることが知られている。
PSGを施行した慢性心不全患者でSASの病名が付いていないレセプトでは、PSGを必要とした理由や無呼吸低呼吸指数(AHI)の値に関してコメントすることが適当である。

43 耐糖能精密検査(糖尿病疑い)

○ 取扱い
原則として、「糖尿病疑い」の初診月に耐糖能精密検査(糖負荷試験)は認められる。

○ 取扱いを定めた理由
血糖値、HbA1Cの数値により強く糖尿病が疑われる場合、負荷時におけるインスリン又はCペプチドの測定は、糖尿病の診断だけでなく、インスリン分泌能、インスリン初期分泌の低下、インスリン抵抗性等を同時に把握でき、病型・病態の診断や治療法の選択上必要である。

社会保険診療報酬支払基金(本部)より引用

 

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