医療事務の失敗談。思い込みは大変なことになるよ。確認大事か。

DPC様式1の項目を再度チェックしているきゆです。
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準細かく分類されていたんですね。見落としたので再度チェックです。。。

 

やっぱり確認は大事ですね。

 

 

今回は、医療事務経験者(ペンネームJinさん)から聞いた話です。Jinさんは現在、大きい病院で仕事をしています。

とても興味深いはなしなので、どうぞご覧ください。

 

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診療報酬明細書(レセプト)作成って?

 

医療事務の仕事の中でも重要なのが、やはり1番は診療報酬明細書(通称=レセプト)を作成することでしょう。

皆さんは病院に受診した際には、仕事や年齢等により異なりますが、3割負担の方もいれば、1割負担の方もいると思います。その残りの部分、3割負担の方であれば残りの7割を、また1割負担の方であれば残りの9割を請求する請求書をレセプトと呼びます。

 

現在の日本の医療制度では提出したレセプトは、審査支払機関や保険者が審査、いわばチェックを行い、不備がないか、不正はないかの確認をします。

仮にそこで不備や間違い、疑問が生じた場合には、審査支払機関や保険者は医療費を病院やクリニックへ支払わず、一旦レセプトを医療機関へ返却し(このことを返戻「へんれい」と言います)医療機関に再度確認してもらう仕組みとなっています。

 

医療機関はレセプトを作成し、審査支払機関に提出することにより初めて医療費を受け取ることができます。よって再確認している間は(返戻された場合)医療費の支払いが一旦ストップするので、医療機関は本来支払われるはずの医療費が入ってこないことになります。

 

医療機関も慈善事業ではなく、経営をしていかなければなりません。医療費の支払いストップは避け、毎月きちんと医療費の支払いをしてもらわなければなりません。また返戻をされる件数が多いということは、その医療機関の質を問われかねません。

 

そういった意味でもレセプト作成とは、医療事務職の仕事では1番気を使う部分であり、医療に対する知識や経験が必要な部分でもあります。同時に医療機関運営にとっても1番重要な事でもあります。

 

医療費の構造

 

 

皆さんも一度は病院を受診し、会計の際にもらう明細書、領収書を目にした事があると思います。しかし、じっくり見てもよく分からないという方も多いのではないかと思います。

現在の医療制度は、金額(円)ではなく、大半の医療機関が点数で表記をされています。初診料が◯◯点、注射をしたら◯◯点といった具合に点数で表記をし、最後に金額(円)にしています。

 

現在は、日本全国どこの医療機関でも1点=10円となっています。

 

しかし、この点数はしばしば変化することがあります。定期的に医療機関に受診をされている方なら経験があると思いますが、『あれ?いつもと金額が違う…。高くなった?』と、金額が高くなったり、逆に安くなったりと変わっている事があります。

 

これは、さきほど説明した1点=10円が変わったのではなく、初診料や注射などの点数が変わったために結果として金額も変わっているという事です。

現在の日本の制度では2年に1度、様々ある医療行為の内容等の見直しを行い、それに伴い点数も見直されます。(通称→「点数改定」と呼ばれています)ニュースでも「今回の診療報酬改定では~」等と耳にしたことがあると思います。

また、病院、クリニックでの初診料や注射などの医療行為だけでなく、調剤薬局などでもらうお薬の金額も同時に見直されます。

 

現在は医療費の計算は点数を計算する専用のパソコンで行います。(電子カルテや医事コンと呼ばれます)そうなると、それぞれの医療機関では2年に1度、点数を計算する専用のパソコンの中身も変えなければいけないという事になります。

 

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失敗は成功のもと

 

医療事務を仕事とし働いてきた中で失敗した事もたくさんあります。

その中でも最も大きな失敗談は前述でお話した2年に1度の点数改定の際、パソコンの中身を変えるのを忘れていた事が原因でクビをも覚悟する事になったことです。

 

基本は、医療機関ごとに使用しているパソコンの業者さんが中身の変更を行ってくれます。しかし、業者さんがしてくれたから間違いはないだろうと勝手に思い込んでいた事で、その先に本当に恐ろしい事態に陥ったのです。

 

当時働いていた医療機関は、いわゆる大病院と呼ばれるところでした。医事課といわれるところで働いていました。

医事課は、主に受付や会計、そして先述にも挙げたレセプト業務を行っている部署で、その部門の責任者と、病院で使っている電子カルテや医事コンの責任者も兼任していました。

点数改定があり、業者さんが中身の変更を行ってくれますが、医事課のスタッフで再度チェックをすることが本来ですが、『業者さんがやってくれたから…』と、再チェックの指示をスタッフに出しませんでした。

 

点数改定があったとはいえ、いつものようにレセプトを作成し、審査支払機関へ提出を行いました。

 

すると、レセプトを提出し約1か月後に審査支払機関から1本の電話がかかってきました。その内容は、ある1種類のお薬の点数が変わってないという指摘の電話でした。

そのお薬は、点数改定する前は2点だったものが、改定後には1点に変わっていました。これだけ聞くと、ぜんぜん大したことはない感じを受けますよね。

しかしながら、そのお薬を使っている患者さんの数が約100人いました。

 

という事は、100人分のレセプトが間違えているという事になります。

 

最初にも説明したように、審査支払機関は提出されたレセプトを審査、チェックし、間違いなどがあれば医療機関に医療費の支払いをせずにレセプトを返すことが出来ます。

仮にこの100人分のレセプトの支払いがストップし返戻になった場合、金額にして1億円ぐらいの支払いが一旦止まることになります。(今でも冷や汗が出ますが・・・)

 

あまりにも金額が大きいため、審査支払機関の方も電話で連絡をくれました。

 

そして、審査支払機関の方から提案されたのは二択でした。
その提案とは、

 

  1. 一旦支払いをストップし、レセプトを返す
  2. 審査支払機関までこちらが出向き、1日で手書き修正する

 

のどちらかでした。

もちろん私は、手書きで修正する方を選択しました。そして、電話があった翌日に修正をしに行き、時間にして8時間かかりました。

 

これは特例で、本来であれば書き直しに行くような事は出来ず、問答無用で返戻の対象となります。その審査支払機関の担当の方のおかげで、クビは免れました(笑)

たかが1点、金額に直すと10円ですが、間違いは間違いで、塵も積もれば山となり100人となったら相当な金額となります。また、それぞれ患者さんごとに診療行為も様々ですので、患者さんごとにレセプトの点数も違います。

 

その当時で最も高かったのは、心臓の手術をされてる方で約100万点、金額にして医療費が1000万円というレセプトもありました。

 

医療機関からすると契約しているパソコン業務さんがきちんと中身の変更を行っていない事が原因と言いたい事ですが、レセプトというものは医療機関の責任において提出することとされています。

 

よってパソコン業者さんの責任という言い訳は通用しません。

 

何事にも確認が大事!!

 

 

これ以来、点数改定がある度にきちんと中身を再確認しています。

もう点数改定も10回以上経験していますが、今でも改定がある度にドキドキしながらレセプト作成を行い、提出しています。

これは稀なケースで、通常業者さんは完璧に中身の変更は行なってくれますが、

 

何らかの不具合が起こる可能性もあると思っておくことが大事で、何においても100%はないと思っています。

 

医療事務職として働くプロ意識、そしてレセプトは金券であるということを忘れずに、レセプト業務を行ってほしいと思います。

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