H28年度の個別指導ってどうなったの?医療監査の結果をまとめた。
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1.診療録等

(1)診療録
◎ 診療録の取扱いが不適切なので改めること。診療録は保険請求の根拠となるものであり、保険医は診療の都度、遅滞なく必要事項を記載すること。

(2)診療録の記載内容
◎ 診療録に必要事項の記載が乏しい例が認められたので改めること。
・診療の開始年月日、終了年月日、転帰欄の記載がない、又は不備である。
・主訴の記載がない。
・症状、所見、治療内容、治療計画等の記載が乏しい。
・主傷病の表示がない。
・日々による診療内容の記載がまったくない。
・日々による診療内容の記載が極めて乏しい。
・日々による診療内容の記載が乏しい。

○ 診療録の記載が乱雑なため判読困難な例が認められたので、第三者にも判読できるような記載に努めること。
○ 傷病名欄の1行に複数の傷病名が書かれている例が認められた。1行には1傷病名のみを記載すること。
○ 診療録に医師の署名がない。複数の保険医による診療が行われる場合は、責任の所在を明確にするため、診療の都度、診療録に署名又は記名・押印等を行うこと。

(3)診療録の記載方法
○ 診療録の修正は、修正前の内容が判読できるよう二重線で行うこと。
○ 診療録では以下の記載方法は避けること。
・鉛筆書き
・欄外記載
・不適切な空行処理
・修正液及び修正テープによる訂正
・塗りつぶしによる訂正
・独自の略称使用

2.傷病名等

(1)傷病名
◎ 医学的に妥当性のある傷病名を記載すること。
○ 傷病名が症状・所見及び検査結果等の根拠に基づかない例が認められたので改めること。
○ 傷病名については適宜見直しを行い、中止、治ゆなどの転帰を記載し病名整理すること。
・急性疾患でありながら、長期にわたってその転帰が未記載である。
○ 単なる状態や症状を傷病名として記載している例が認められたので改めること。
・筋肉痛、食欲不振、頭痛、疼痛、冷え性、めまい
○ 傷病名に、部位・左右・急性・慢性等の記載がない例が認められたので改めること。
・部位の記載がない例
変形性関節症、湿疹、接触皮膚炎、
・左右・急性・慢性等の記載がない例
変形性膝関節症、急性結膜炎、気管支炎、胃炎、湿疹、足白癬、白内障、咽頭炎、鼠径ヘルニア、皮膚角化症

○ 傷病名を整理しないで、重複して付けていた例が認められたので改めること。
・「アルツハイマー」と「認知症」
・「胃炎」と「慢性胃炎」
・「胃腸炎」と「慢性胃炎」
・「関節リウマチ」と「膠原病」
・「高コレステロール血症」と「高脂血症」
・「糖尿病」と「2型糖尿病」
○ 長期間整理されていない疑い病名の例が認められたので改めること。
○ 「疑い」の傷病名を「確定病名」としている。
○ 「確定病名」を「疑い」の傷病名としている。

(2)診療報酬明細書に記載された傷病名
◎ 検査、投薬等の査定を防ぐ目的で付けられた医学的な診断根拠がない傷病名の記載が認められたので改めること。
いわゆるレセプト病名が見られる。
(いわゆるレセプト病名の例)
心臓弁膜症の疑い、胃潰瘍、胃炎、肝機能障害の疑い、肝炎の疑い、B型肝炎の疑い、C型肝炎の疑い、肝硬変症の疑い、糖尿病の疑い、膵がんの疑い、大腸がんの疑い、腎機能低下の疑い、腎機能障害の疑い、慢性膀胱炎の疑い、前立腺がんの疑い、貧血の疑い、低カリウム血症、統合失調症、ビタミン欠乏症

(3)診療録と診療報酬明細書の不一致
○ 診療報酬明細書の内容が、診療録に記載された内容と一致しない例が認められたので改めること。

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3.基本診療料

(1)初診料

○ 初診料の算定要件を満たしていない例が認められたので改めること。
・診療継続中の患者について、新たに発生した他の傷病で初診料を算定
・明らかに同一の疾病又は負傷であると推測される場合の診療について算定
○ 初診時の主訴、現病歴及び既往歴の記載が乏しい。

(2)再診料

○ 再診料を算定出来ない例が認められたので改めること。
・電話再診について、医師から患者に対して連絡した事案に対して算定している。
・同日受診の再診料について、一連の医療行為に対して算定している。
・健康診断と併せて実施したものを算定している。
・検体を持参しただけの場合に算定している。
・必要な指示を行っていないにもかかわらず算定している。
・施設入所者への特別な必要のない診療に対する再診料の算定している。
○ 外来管理加算の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・患者からの聴取事項や診察所見の要点の記載がない、又は記載内容が乏しい。
・患者を診察せずに看護にあたっている者から症状を聴取したものを算定して
いる。
・同日に、精神科専門療法が行われているにもかかわらず算定している。
○ 地域包括診療加算の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・患者の同意を得ていないのに算定している。
・投薬内容についての診療への記載が不十分である。

(3)入院料等・入院診療計画

○ 入院診療計画書の記載が不備である例が認められたので改めること。
・入院診療計画書の策定がない。
・入院診療計画書の様式が基本診療料の施設基準等の別添6(別紙2)を参考
とした様式になっていない。
・説明に用いた文書の写しを診療録に添付していない。
・説明を受けた患者又は家族の署名がない又は一部不備である。
・「その他(看護、リハビリテーション等)」の記載が画一的で個々の患者の
病状に応じて作成されていない。
・症状、治療計画、全身状態の評価、検査内容、看護計画、リハビリテーショ
ン等の計画の記載がない、又は記載内容が乏しい。
・特別な栄養管理の必要性の有無の記載がない。
・特別な栄養管理の必要性が適切に取り扱われていない。

(4)入院料等・院内感染防止対策

○ 院内感染防止対策を適正に実施していない例が認められたので改めること。
・感染情報レポートが週一回程度作成されていない。

(5)入院料等・医療安全管理体制

○ 医療安全管理体制を適正に実施していない例が認められたので改めること。
・安全管理の責任者等で構成される医療安全管理委員会を月1回程度開催して
いない。

(6)入院料等・褥瘡対策

○ 褥瘡対策を適正に実施していない例が認められたので改めること。
・褥瘡対策の診療計画は、専任医師及び専任看護職員が適切に作成すること。
・褥瘡対策に関する診療計画書は、「基本診療料の施設基準等及びその届出に
関する手続きの取扱いについて(H28.3.4 保医発 0304 第 1 号)」の別添6(別
紙3)を参考の上、専任医師及び専任看護職員が適切に作成すること。
・褥瘡対策の診療計画は、既に褥瘡を有する患者だけでなく、入院時に日常生
活の自立度が低い患者につき、褥瘡に関する危険因子の評価を行い、褥瘡に
関する危険因子のある患者についても作成すること。

(7)入院料等・栄養管理体制

○ 栄養管理を適正に実施していない例が認められたので改めること。
・入院時に患者の栄養状態を、医師、看護職員、管理栄養士が共同して確認すること。
・栄養管理手順書について、医師、看護職員、管理栄養士、その他医療従事者
が共同して栄養管理を行う体制とした内容とすること。

(8)入院基本料

○ 入院基本料の看護要員数等の検証が適正に行われていないので改めること。
・看護師の実勤務時間の算出において、出勤していない時間を誤って算入して
いる。
・看護師の実勤務時間の算出において、院外での研修に出席した時間を算入し
ている。
○ 重症度、医療・看護必要度に係る評価を導く根拠を記録すること。
○ 療養病棟入院基本料に係る医療区分・ADL区分の評価について、不適切な
例が認められたので改めること。
・医療区分の評価が適切に行われていない。

(9)入院基本料等加算

① 救急医療管理加算

○ 救急医療管理加算の算定において、重症と認められない患者について算定
している例が認められたので改めること。
○ 救急医療管理加算の算定において、重篤な状態である根拠を示す記載が不十分である、又は患者の状態が記載されていない例が認められたので改めること。

② 医療安全対策加算2

○ 医療安全管理部門の業務並びに安全管理者の具体的な業務内容について整
備し、適切に実施の上、その内容を記録すること。

③ 感染防止対策加算2

○ 保険医療機関の見やすい場所に院内感染防止対策に関する取組事項を掲示
すること。
○ 感染防止対策部門を設置し、当該部門内に感染制御チームを組織すること。
(1)医学管理等

◎ 医学管理料の算定において、必要事項の記載が乏しい診療録が見られ、また、判読できない例が認められたので改めること。この項目の算定に当たっては、特に、指導内容・治療計画等の診療録に記載すべき事項が、算定要件としてそれぞれの医学管理料ごとに定められていることに留意すること。

① 特定疾患療養管理料
◎ 特定疾患療養管理料の算定において、診療録に療養上の管理内容の要点の記載がない、乏しい、又は画一的な例が認められたので改めること。
○ 特定疾患療養管理料の算定において、主病を中心とした療養上必要な管理が行われていない例が認められたので改めること。
※ 請求事務(診療報酬明細書作成)に係る事項
・厚生労働大臣が定める疾患を主病としない患者について算定

② 特定薬剤治療管理料
◎ 特定薬剤治療管理料の算定において、診療録に薬剤の血中濃度、治療計画の要点の記載がない、又は記載内容が乏しい例が認められたので改めること。

③ 悪性腫瘍特異物質治療管理料
◎ 悪性腫瘍特異物質治療管理料の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・診療録に腫瘍マーカー検査の結果の記載がない。
・診療録に治療計画の要点の記載がない、又は記載内容が乏しい。
・確定診断されている患者以外に算定している。
・腫瘍マーカー検査を当該管理料で算定している。

④ 心臓ペースメーカー指導管理料
◎ 心臓ペースメーカー指導管理料の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・計測した機能指標の値及び指導内容の要点を診療録に記載していない。

⑤ 小児特定疾患カウンセリング料
○ 小児特定疾患カウンセリング料の算定において、診療録に診療計画及び診療内容の要点の記載がない、乏しい、又は画一的な例が認められたので改めること。

⑥ てんかん指導料
○ てんかん指導料の算定において、診療録に診療計画及び診療内容の要点の記載がない、乏しい、又は画一的な例が認められたので改めること。

⑦ 難病外来指導管理料
○ 難病外来指導管理料の算定において、診療録に診療計画及び診療内容の要点の記載がない、乏しい、又は画一的な例が認められたので改めること。

⑧ 皮膚科特定疾患指導管理料
○ 皮膚科特定疾患指導管理料の算定において、診療録に診療計画及び診療内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。
○ 皮膚科特定疾患指導管理料を算定するにあたり、皮膚科及び皮膚泌尿器科
の専任でない医師が指導管理を行っている例が認められたので改めること。

⑨ 外来栄養食事指導料・入院栄養食事指導料
○ 外来・入院栄養食事指導料の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・診療録に、医師が管理栄養士に対して指示した事項の記載がない、又は記載内容が乏しい。
・栄養指導記録に指導時間が記載されていない。

⑩ 在宅療養指導料
○ 在宅療養指導料の算定において、診療録に保健師又は看護師への指示事項の記載がない例が認められたので改めること。

⑪ 慢性維持透析患者外来医学管理料
○ 慢性維持透析患者外来医学管理料の算定について、診療録に管理内容の要点記載が乏しいので改めること。
○ 慢性維持透析患者外来医学管理料の算定について、計画的な治療管理が行われていないので改めること。

⑫ 喘息治療管理料
○ 喘息治療管理料の算定について、診療録に計画的な治療管理に関する記載がない例が認められたので改めること。

⑬ 慢性疼痛疾患管理料
○ 慢性疼痛疾患管理料の算定について、診療録に療法の実施内容の記載が乏しいので改めること。

⑭ 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料
○ 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料の算定において、診療録に診療計画及び指導内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。

⑮ がん性疼痛緩和指導管理料
○ がん性疼痛緩和指導管理料の算定において、診療録に麻薬の処方前の疼痛の程度、麻薬の処方後の効果判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。

⑯ 乳幼児育児栄養指導料
○ 乳幼児育児栄養指導料の算定において、診療録に指導の要点の記載が乏しい例が認められたので改めること。

⑰ 生活習慣病管理料
○ 生活習慣病管理料の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・療養計画書が作成されていない。
・療養計画書の記載に不備がある。
・初回の療養計画書を交付した後、継続の療養計画書が4月に1回以上交付
されていない。
・療養計画書の写しが添付されていない。

⑱ ニコチン依存症管理料
○ ニコチン依存症管理料の算定において、診療録に治療管理の要点の記載が不十分である。

⑲ 肺血栓塞栓症予防管理料
○ 肺血栓塞栓症予防管理料を算定するにあたり、関係学会から示されている標準的な管理方法に沿った医学管理が行われていない例が認められたので改めること。

⑳ 小児かかりつけ診療料
○ 小児かかりつけ診療料の算定において、診療録への指導内容の記載が乏しいので改めること。
○ 継続診療中の患者に対して、転帰を治癒とし、改めて小児かかりつけ診療料(処方せんを交付する場合/初診時)を算定しているので改めること。

㉑ 退院時リハビリテーション指導料
○ 退院時リハビリテーション指導料の算定において、診療録に指導(又は指示)内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。

㉒ 薬剤管理指導料
○ 薬剤管理指導料の算定において、薬剤管理指導の指導内容の記載が不十分な例が認められたので改めること。
○ 薬剤管理指導料2について、特に安全管理が必要な医薬品に関し、薬剤管理指導記録に服薬指導及びその他の薬学的管理指導の内容記載が乏しいので改めること。

㉓ 診療情報提供料
○ 診療情報提供料(Ⅰ)の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・主治医が自らに対して情報提供したものについて算定している。
・紹介元医療機関への再受診を伴わない患者紹介の返事について算定してい
る。
・紹介先の機関名が記載されていない。
・診療録に提供した文書の写しを添付していない。
○ 退院時診療情報等添付加算について、必要な情報を添付していないものについて算定しているので改めること。
※ 請求事務(診療報酬明細書作成)に係る事項
・「診療情報提供料(Ⅰ)」で算定すべきところ「診療情報提供料(Ⅱ)」で算定

㉔ 薬剤情報提供料
○ 薬剤情報提供料の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・診療録に薬剤情報を提供した旨の記載がない。

在宅医療

① 往診料

○ 往診料の算定において、定期的ないし計画的に患家に赴いて診療を行っている例が認められたので改めること。
○ 患家の求めによらない往診料の算定が認められた。

② 在宅患者訪問診療料

○ 在宅患者訪問診療料の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・診療録に訪問診療の診療内容の要点の記載がない、又は記載内容が乏しい。
・同意書が作成されていない。
・同意書が診療録に添付されていない。
・診療時間及び診療場所について診療録に記載していない。

③ 在宅時医学総合管理料

○ 在宅時医学総合管理料の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・診療録に在宅療養計画及び説明の要点等の記載がない、又は記載内容が乏しい。
・在宅療養計画書の内容が同一で、漫然と繰り返されている例が見られたので患者の症状にあった内容で作成すること。

④ 在宅自己注射指導管理料

○ 在宅自己注射指導管理料の算定において、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。
○ 在宅自己注射指導管理料の算定において、在宅自己注射導入前に、入院又は週2回以上の外来、往診若しくは訪問診療により、医師による十分な教育期間をとった、十分な指導を行っていない。

⑤ 在宅酸素療法指導管理料

○ 在宅酸素療法指導管理料について、診療録に当該在宅療養の指示事項、指示内容の要点記載が乏しい例が認められたので改めること。

⑥ 血糖自己測定器加算

○ 血糖自己測定器加算の算定において、測定記録に基づく指導が実施されていない例が認められたので改めること。

⑦ 在宅酸素療法指導管理料

○ 在宅酸素療法指導管理料の算定において、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。

⑧ 在宅妊娠糖尿病患者指導管理料

○ 在宅妊娠糖尿病患者指導管理料の算定において、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めると。

⑨ 在宅人工呼吸指導管理料

○ 在宅人工呼吸指導管理料の算定において、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。

⑩ 在宅自己疼痛管理料

○ 在宅自己疼痛管理料の算定において、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。

⑪ 在宅寝たきり患者処置指導管理料

○ 在宅寝たきり患者処置指導管理料の算定において、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。

⑫ 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料

○ 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の算定において、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。

⑬ 在宅自己腹膜灌流指導管理料

○ 在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定において、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。

⑭ 在宅自己導尿指導管理料

○ 在宅自己導尿指導管理料の算定において、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。

検査

◎ 検査の算定で不適切な例が認められたので改めること。検査は個々の症状・所見に応じ、必要な項目を選択し、段階を踏み、漫然と実施することなく、その結果は適宜評価し治療に反映されたい。

① 必要性
○ 必要性のない又は乏しい検査の例が認められたので改めること。
・診療録にその必要性の記載がない。
(検査の例)
尿沈渣(鏡検法)、末梢血液像(自動機械法)、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、遊離トリヨードサイロニン(FT3)、遊離サイロキシン(FT4)、腫瘍マーカー(TM)、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、CA19-9、梅毒血清反応(STS)定性、梅毒トレポネーマ抗体定性、HBs 抗原定性・半定量、C反応性蛋白(CRP)定性、C反応性蛋白(CRP)

・検査が症状・所見等に応じて適正に行われていない。
(検査の例)
細菌培養同定検査、生化学的検査(Ⅰ)判断料、生化学的検査(Ⅱ)判断料

・医学的に必要性が認められない。
(検査の例)
超音波検査

② 回数過剰
○ 必要以上に実施回数が多い検査の例が認められたので改めること。
・赤血球沈降速度(ESR)、C反応性蛋白(CRP)定性、C反応性蛋白(CRP)

③ その他
○ 呼吸心拍監視について、診療録に要点の記載(観察した呼吸曲線心電曲線、心拍数などの観察結果)がない。

○ 腫瘍マーカー検査について、診察及び他の検査・画像診断等の結果から悪性腫瘍の患者であると強く疑われる以外の者に対して実施している。

○ 健康診断と思われる検査の例が認められたので改めること。

○ 算定要件を満たさない検査が認められたので改めること。
・腫瘍マーカー検査

画像診断

◎ 画像診断の算定において、実施した画像診断の必要性、結果及び結果の評価について、診療録への記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。
○ コンピューター断層撮影について、医学的な必要がない。

投薬

◎ 投薬の算定において、診療録に必要事項の記載が乏しい例が認められたので改めること。
◎ 投薬について、不適切な例が認められたので改めること。投薬に当たっては、その必要性を十分に考慮した上で、適応、用法、用量等の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(医薬品医療機器等法)の承認事項を厳守して使用すること。また、治療効果判定を行い、漫然と投与することのないよう注意されたい。
① 禁忌投薬
・消化性潰瘍のある患者に対するアセリオ注の投与
② 適応外投与
・イソジンガーグル液 7%、ネキシウムカプセル、コロネル錠、ヒアレイン点眼液、マグラックス錠 330 ㎎、メコバラミン錠
③ 類似薬効の薬剤の重複投与
・「ネキシウムカプセル」と「ガスター注射液」
・「ガスターD錠」と「タケプロンOD錠」
④ 特定疾患処方管理加算
※ 請求事務(診療報酬明細書作成)に係る事項
・厚生労働大臣が定める疾患を主病としない患者について算定
○ ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨の診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。

注射

◎ 注射について、不適切な例が認められたので改めること。注射の使用に当たっては、その必要性を十分に考慮した上で、適応、用法、用量等の医薬品医療機器等法上の承認事項を厳守して使用すること。
① 適応外使用
・フェブリク錠
② 長期漫然投与(適宜効果判定が行われずに漫然と行われている投薬)
・セルシン注射液5mg
③ 治療上の必要性がない、又は乏しい、あるいは不明確な注射
・必要性に乏しい薬剤が点滴注射に使用されている。
○ 注射において、症状・所見等に応じて適正に行われていない例が認められたので改めること。
○ 注射において、必要性、効果性及び結果・評価の記載に不備が認められたので改めること。

リハビリテーション

◎ 疾患別リハビリテーションにおいて不適切な例が認められたので、適応を症状、所見に応じ、妥当適切に判断した上で施行し、漫然と治療することなく適宜効果判定を行うこと。

◎ 疾患別リハビリテーションの実施に当たっては、医師は定期な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、定められた様式に準じたリハビリテーション実施計画を作成する必要があることに留意し、リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者に対して当該リハビリーション実施計画の内容を説明し、診療録にその要点を記載すること。

○ 疾患別リハビリテーションにおける実施計画書の作成について、不適切な例が認められたので改めること。
・実施計画書が作成されていない、記載内容が乏しい、又は記載されている内容が画一的である。
・実施計画書に関して患者等へ説明していない。
・実施計画書に患者、家族等の印又は署名がない。

○ 疾患別リハビリテーションの算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・個人別の訓練記録に、機能訓練の内容の要点を記載していない、又は乏しい。
・診療録に機能訓練の開始時間及び終了時間の記載がない、又は画一的である。
・発症日の取扱いが誤っている。
・起算日が医学的に妥当ではない。

○ リハビリテーション総合計画評価料の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・リハビリテーション総合実施計画書の記載内容が乏しい。
・リハビリテーション総合実施計画書を患者又は家族に交付していない。
・リハビリテーション総合実施計画書が診療録に添付されていない。

精神科専門療法

○ 通院・在宅精神療法の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・診療録における要点の記載がない、又は記載内容が乏しい。
・診療録に当該診療に要した時間の記載がない。
・当該療法の要した時間の記載が画一的である。

○ 精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケアの算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・診療に要した時間が明確に記載されていない。
・診療計画書の記載内容が不十分である。

○ 精神科作業療法について、当該療法を実施した日に医師の診療がない例が認められたので改めること。

○ 持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料の算定において診療録に治療計画及び指導内容の要点の記載に不備があるので改めること。

処置

○ 消炎鎮痛等処置の算定において、漫然と実施されている例が認められたので改めること。

○ 皮膚科軟膏処置を算定しているものについて、処置した範囲を診療録に記載していないので改めること。

○ 膀胱洗浄について、薬液注入の費用を別に算定している例が認められたので改めること。
※ 請求事務(診療報酬明細書作成)に係る事項
・創傷処置において、範囲・部位の記載を誤っている

手術

○ 手術に係る算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・手術内容の必要事項が記録されていない。
・処置で算定すべきものについて、手術として算定している。
・麻酔薬の使用量の記載が漏れている。
・手術記録に手術時間の記載がない。
・必要性の乏しい患者に対して輸血を実施している。

○ 手術において、術式等の記載がない事例が認められたので改めること。

○ 輸血について、輸血の必要性、危険性を患者等に対して説明した文書の記載内容を充実させること。
※ 請求事務(診療報酬明細書作成)に係る事項
・実際には処置であるにもかかわらず手術として算定

麻酔

○ 麻酔記録について、患者氏名の記載がない事例が認められたので適切に記載するよう改めること。

○ 施設基準として地方厚生(支)局長に届け出た常勤の麻酔科標榜医以外の者が診察を行ったものについて麻酔管理料(Ⅰ)を算定しているので改めること。

○ 麻酔管理料の算定において、診療録に麻酔科標榜医による術前・術後の診療に関する記載がない例が認められたので改めること。

○ 麻酔管理料(Ⅱ)の算定において、麻酔前後の診察等が常勤の麻酔科標榜医の指導の下に行われていないので、適切に実施すること。

○ 閉鎖循環式全身麻酔について、伏臥位で行ったものを、区分を誤って算定している。

病理診断

○ 病理判断料の算定において、病理学的な結果に基づく病理診断の要点の記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。

特別食加算

特別食加算の算定にあたり、不適切な例が認められたので改めること。
・特別食の対象となる傷病名の記載がない。
・対象疾患がない患者に対して算定している。
・減塩食を提供している患者について、心疾患がない患者又は心疾患の病名を付与しているがその根拠がない患者に対して算定している。

関東信越厚生局より引用

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