看護必要度 Hファイル A項目 抗不整脈剤の使用(注射剤のみ)

「不整脈のある患者に対して、不整脈の発生を抑えることを目的として抗不整脈剤の注射薬を使用した場合に評価すると定義されている。」と定義されている。

1)薬剤

抗不整脈剤であれば種類は問わない。
例)ワソラン静注5mg 0.25%2mL

2)患者の状態

「不整脈のある患者」に対して投与された場合のみ評価の対象となる。
不整脈の病名がない患者、不整脈の疑いもない患者に対して投与された場合は評価×

3)投与の目的

不整脈を抑えることを目的として投与した場合のみ評価の対象となる。

4)貯留方法

体外に誘導した滲出液や血液等を「排液バッグ等」に貯留する場合に評価の対象となる。

評価の対象日、留意点

使用した当日のみを評価し、休薬中は含めない。
これらの薬剤が抗不整脈剤のとして用いられる場合に限り含め、目的外に使用された場合は含めない。
精神安定剤等を不整脈の抑制目的として使用した場合も含めないと留意点にあります。

不整脈の種類をまとめた。

電導異常

WPW症候群
正常の電導路以外に心房と心室の間に副電導路(ケント束)があるもの。正常の刺激電導路を通るべき興奮が、副電導路を先に通って伝わるもの

脚ブロック

右脚ブロック
興奮が右脚ブロックされ左脚に伝わった刺激が心室中隔を介して右室に伝わり右室自由壁、心室中隔右室面の興奮が遅れる

左脚ブロック
興奮が左脚でブロックされ、右脚への興奮が心室中隔を介して左室に伝わり左室が遅れて興奮する

左脚前枝ブロック
左脚の前方への興奮が遅れ、電気軸が左上後方へ向く。

左脚後枝ブロック
左脚の後方への興奮が遅れ、電気軸が右後方へ向く。

二枝ブロック
右脚ブロックに2~4のうち片方のブロックが合併した場合、冠動脈疾患でおこる場合は、左脚前枝ブロックとの合併が多い。

房室ブロック

1度房室ブロック
興奮電導時間だけが遅延する

2度房室ブロック
モビッツⅠ型・・・房室興奮電導時間が次第に遅くなり、ついにQRSが一つ脱落するもの
モビッツⅡ型・・・心房から心室への興奮電導が時々突然途絶える危険な不整脈

3度房室ブロック
上室性の刺激はすべて房室接合部でブロックされ心室へまったく伝わらない。
下位からのゆっくりした刺激がP波とは無関係に発生する

生成異常

上室性不整脈

心房性期外収縮
心房内のある部位に刺激発生源がありそこから洞よりの刺激よりも早期に刺激が発生

房室接合部期外収縮
房室接合部から発生する期外収縮

発作性上室性頻拍
心房または房室接合部での刺激が発作性に回帰しておこる

心房細動
心拍がまったく不規則、心房が局所的、非周期的に頻回に興奮

心房粗動
心房が規則正しく頻回に興奮

洞結節

洞頻脈
刺激生成頻度が心拍数100/分以上

洞徐脈
刺激生成頻度が心拍数60/分以下

洞不整脈
刺激生成が不規則

心室性不整脈

心室期外収縮
ヒス束分岐部より下方の心室から早期刺激によりおこる期外収縮、最も多い不整脈

心室頻拍
心室性期外収縮が3~4拍以上連発し頻拍となる

心室細動
心室のあらゆる部位から刺激が発生し、心室が細かくふるえ、心停止状態になる。

心室粗動
細動と同じ状態、明確に区分できない

洞房ブロック

洞結節から心房への興奮電導が障害される、ブロックされると心拍が抜けるが後は正常

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