看護必要度 Hファイル B項目【危険行動】

患者の危険行動の有無を評価する項目である。

1.評価対象になる危険行動

ここでいう「危険行動」は、「治療・検査中のチューブ類・点滴ルート等の自己抜去、転倒・転落、自傷行為」といった3種類の危険行動が定義されています。

いずれも「そのまま放置すれば危険行動に至ると判断される行動」を含めて考えます。

1)治療・検査中のチューブ類・点滴ルート等の自己抜去

「自己抜去」とはチューブ類・点滴ルート等のような「身体に挿入されているものを抜き去る行為」をいいます。
*酸素マスクや心電図モニターの電極等の身体に取り付けられているものを取り外す行為は、ここでいう抜き去る行為にはあたりません。

この場合の「放置すれば危険行動に至る」とは、チューブ類に手をかける等の行為を指します。自己抜去の可能性があるとみなします。

2)転倒・転落

「転倒・転落」とは歩行中の転倒、ベッドや車椅子等の乗ることができるものからの患者の転落等が該当します。

この場合の「放置すれば危険行動に至る」とは、倒れそうになったもしくは転落しそうになった状況を観察した場合、当該状況において介助が必要になった場合が該当します。

予防的な介助は評価対象ではありません。また、想定外の地震等によって、ベッドから落ちたような場合も対象にはなりません。

3)自傷行為

「自傷行為」とは、患者の意思により刃物で自らを傷つけるような行為等をいいますが、患者が行う無意識の行為も評価の対象です。無意識の行為とは、歩行時に机をぶつかる、傷口をいじるなどの行為です。患者が自ら無理な姿勢をとることで、骨折や脱臼をする等の行為も含まれます。

この場合の「放置すれば危険行動に至る」とは、自傷行為をしそうになった場合、当該行為を阻止するための介助を行った場合をいいます。

判断に際しての留意点

前提条件

  • ①過去一週間以内に、対策がもたれている状況下で対象の危険行動が発生している。
  • ②評価日に、当該病棟で当該患者に対する当該危険行動の防止対策がもたれている。

対策がもたれている状況下(前提条件の2つに適合していること)で発生した危険行動が評価の対象。評価当日にも当該対策がもたれている場合には評価の対象に含める。対策をもたない状況下で、危険行動を確認しても評価対象にはならないので注意。

発生した危険行動は、看護職員等が観察し、記録していなければなりません。家族や他の患者が観察し、知らされた内容を看護職員等が記録しても評価の対象にはなりません。
記録には、観察された危険行動の内容】、【危険行動の発生日】、【対策】の内容の3つが必要になります。

認知症等の有無や、日常生活動作能力の低下等の危険行動を起こす疾患・原因等の背景や、行動の持続時間等の程度を判断の基準としない。
なお、病室での喫煙や大声を出す・暴力を振るう等の、いわゆる迷惑行為は、この項目での定義における「危険行動」には含めない。

他施設からの転院、他病院からの転倒の際は、看護職員等が記載した記録物により評価対象期間内の「危険行動」が確認できる場合は、評価の対象に含める。

選択肢の判断基準

過去1週間以内に危険行動という1週間とは、評価日を含めた過去7日間をいいます。
対策がもたれている状況下(前提条件の2つに適合していること)で発生した危険行動の初日から7日目までが評価対象期間になります。

当該期間中に、対策をもっている状況下でさらに危険行動が発生した場合は、新たな発生日を初日とし、そこから最大7日間が評価対象期間になります。

 

 

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